ウミスズメ科 ALCIDAE
ウトウ属 CERORHINCA
ウトウ Rhinoceros Auklet

ウトウ Cerorhinca monocerata
Rhinoceros Auklet

2015.11.20 ウトウ成鳥冬羽 撮影:寺沢 孝毅

全長:38cm 環境:海岸
天売島では繁殖しており、春先から秋にかけて記録される。
天売島での観察時期:1・2・3・4・5・6・7・8・9・10・11・12月

ウトウの世界最大の繁殖地 天売島

 ウトウは天売島で80万羽、40万ペアが繁殖する世界最大の繁殖地です。繁殖期の夕方、日がくれた後に海上から息を合わせたかのように一斉に飛んで帰ってくるウトウの帰巣風景はまさに圧巻で、その数と聞こえてくる無数の羽音は見るものを圧倒することでしょう。

夜に繰り広げられる激闘

 5月下旬に入るとだんだんと卵からヒナが孵化し、口いっぱいにイカナゴなどの魚を咥えて帰巣するウトウの姿が見られ始めます。それにあわせて、夕方ウトウの帰巣時間より少し前に、繁殖地周辺で待ち構えるうみねこの姿が見られることでしょう。ちょうど同じ時期にヒナが孵るウミネコは、ウトウが持ち帰った魚を横取りしようと待ち伏せているのです。上空からものすごいスピードで地面に向かい、空中でうみねこを上手くかわしながら、自分の巣の周辺に着地します。陸上を歩くのが苦手なウトウは、ウミネコたちの隙をついて急いでかけていきますが、見つかると最後、わっと襲われ、綱引きのように互いに魚を引っ張りあう大激闘に。天敵はウミネコだけではなく、実は仲間のウトウも餌を狙うライバルです。餌を奪われまいと頑張るウトウの姿を見ると、ついつい力が入ってしまうでしょう。

2008.11.13 ウトウ成鳥冬羽 撮影:寺沢 孝毅

2015.11.20 ウトウ冬羽 撮影:寺沢 孝毅